一般治療
根管治療
保存的治療
根管治療とは
進行した虫歯や不適切な歯髄(しずい:歯の神経や血管)の処置によって根管(こんかん:歯の中にある歯髄を入れておく管)内に細菌による感染が起こり、その結果、歯を支えている歯根膜(しこんまく)や骨まで炎症が及んだものを歯根膜炎(しこんまくえん)と言い、これに対する治療を根管治療といいます。
歯根膜炎とは?
歯根膜炎は虫歯や歯髄炎と違って、見た目に歯が黒くなったり欠けたりしませんし、すごく痛くなったりすることもなく、治療後3~5年以上経ってか ら症状がでることが多いので、なかなか自分で自覚することができません。しかし、そのまま放置しておくと、歯を支えている歯槽骨が溶けて、歯がグラグラしてきたり、時にはあごの骨まで感染が及んで、口を開けることが困難になったりする場合があります。
以下の症状に心当たりのある方は、一度ご相談ください。
- 以前、歯の神経の治療を受けたのに、また歯がうずく様な気がする。
- 歯が浮いたような感じで重苦しく、強く噛むと痛い様な気がする。
- 歯の根の部分をほっぺたから押すと違和感がある。
- 歯の根の部分の歯肉が腫れてきた。
- 熱いものを食べるとしみる様な感じがある。
根充剤(根につめる薬)が根尖(根の先端)までしっかりと入っていない。
根尖まで根充剤が入っているが、細すぎてすきまがあいている。
根充剤がほとんど入っていないか、もう溶けてなくなってしまっている。
大きなカリエス(虫歯)によって歯髄が感染し、歯根膜まで及んでいる。
しっかりと根尖まで、しかも密に根充剤を充填することにより、歯根内から歯根膜への感染経路を遮断!
根管内からの細菌の影響が無くなることにより、生体の正常な防御機能が働き、失われた骨や歯根膜を再び作り出していきます。この結果、処置が終了した歯は、他の健康な歯と同じように永く口腔内で機能することができるようになります。
Q. 具体的な治療方法は?
A. いずれにせよ、根管治療の必要な歯は、根管内が汚染され問題が生じているわけですから、まず根管内をきれいにすることから始めます。また、根尖に炎症が生じた結果、膿(うみ)が溜まっている場合は、根管を通して、外へ排出させます。
具体的には
- ファイルという小さな針に似た器具を根管に挿入し、根尖まで確実に届かせ、膿を排出させる通り道を作ります。
- ファイルを細い物から順次太い物へ替えていき、細菌に汚染された根管の内壁を削り取ります。
また、同時に不良な充填物もきれいに取り除きます。 - 根管の内壁がきれいになり、膿も出てこなくなったら、次は根管充填剤を入れます。
根管充填には主に次の様な方法があります。
- 綿に薬液をしみ込ませたものを充填する。
- 粉と液を混ぜてペースト状にしたものを流し込む。
- ガッタパーチャというゴム系の樹液から抽出した薬を充填する。
当院では、生体に為害作用がなく、半永久的に性状が変化しないという理想的な物性を持つ3.のガッタパーチャを用いる方法を行っています。
Q. 根管治療は痛くないの?
- 自分では痛くも何ともない場合でも、レントゲンを撮ってみると意外に大きな病巣(膿)が歯根の先に存在する場合があります。このような歯に処置を行うことによって、炎症が刺激され、一時的に腫れたり痛んだりすることがありますが、心配いりません。これは、生体の病気を治そうとする力よりも炎症の大きさが勝った場合に出る症状で、抗生物質や炎症を抑える薬を併用することで4日ほどで治ります。
- 根管治療や根管充填を行った日から2~3日位、歯が少し浮いたような感じや強く噛んだりすると響く感じが出たりしますが、これは治療により根尖部分が刺激されたために起こる一過性の症状ですので、自然に消失します。
歯の神経のお話
歯が枯れ木になる!?
歯の神経とは?
歯の神経の役割
神経の役割 その1
歯に栄養補給をしてくれる
神経の中の血管を通じて酸素や水分、いろんな栄養を運んでいます。
歯に栄養が供給されることで、歯質は強くなり、頑丈でツヤのある健康な歯が保たれています。
神経の役割 その2
虫歯である事を教えてくれる
冷たいもの、熱いものがしみたりすれば「虫歯かも…」と、口腔トラブルに気づくことができ、早い段階で対処することができます。
神経の役割 その3
虫歯から歯を守ってくれる
虫歯が一定のところまで進行すると、神経はそれを防ごうと壁を作り、虫歯の進行や痛みを抑えてくれます。
歯の神経は健康な歯を維持するために大切なものです。それでも、神経を抜く治療が必要になる場合があります。
重度の虫歯
重度の知覚過敏
歯の神経の壊死
歯に亀裂が入った時
歯の神経を抜くことで起こること
歯がもろくなる
神経を失ってしまうと、酸素や水分、栄養分は行きわたらなくなり、しだいにもろくなります。
やがては硬いものを噛んだ時に、歯が割れてしまったり、折れてしまったりすることも...
歯の変色
神経を抜いてしまうことで、腐敗した神経組織や血液成分が歯に染み込み、見た目の色も茶褐色~黒っぽく変色してしまうこともあります。
虫歯に気づきにくい
神経がない歯は痛みを感じることができず、虫歯にも気づきにくくなります。
「神経がない歯の虫歯」は、気がつく頃にはかなり進行していることが多く、残念ながら抜歯になってしまうことも・・・。
※神経がないからといって、虫歯にならないわけではありません。
歯の神経を抜くということは、血管を含め歯髄全体を取り除くことを意味します。
神経を抜いた歯は、血がかよわなくなり栄養などが届かず、やがて抵抗力がなくなり、枯れ木のようにもろくなってしまいます。
そこで・・・
歯科では、患者さんの歯が枯れ木にならないように、たとえ虫歯になっても神経だけは残せるようにできるだけの努力をしています。
歯の神経はとても大切です!
虫歯の予防、虫歯の早期発見・早期治療が歯の寿命を延ばすために最も重要です。
定期的な検診・クリーニングを続けていきましょう!
歯周病の管理
メンテナンス
歯周病とは
歯周病はほとんど症状が現れない恐ろしい病気です。
痛みもあまりなくあったとしてもわずかにしか感じない分、本人が気付かないうちにどんどん進行していく危険性をもっています。
歯の周囲には、歯根膜、歯肉、歯槽骨などがあり、歯周病はこの部分の病気です。軽いものでは歯肉炎から、重いものでは歯周炎まで歯の周辺組織の病気をまとめた総称です。
- 歯肉炎とは
歯肉にだけ炎症が生じている状態です。
初期には歯石がたまって歯肉が赤く腫れてくる症状です。 - 歯周炎とは
歯肉炎が進行して炎症が歯肉だけでなく歯根膜や歯槽骨にまで及んだ状態です。出血したりむずがゆい感じがするようになり、歯肉の下の骨がおかされてしまいます。そして膿がたまって口臭がひどくなってきます。歯がぐらついてきたら赤信号です。
良い歯肉・悪い歯肉
良い歯肉
歯肉の色は淡いピンク色、形はとがった形で、硬い感じがします。
ミカンの皮のようなブツブツ(スティップリング)がみられます。
悪い歯肉
歯肉の色は赤く、ブヨブヨと腫れています。
少し触れただけで出血したりします。
歯周炎の進行
STEP 1:歯肉の炎症
歯肉が炎症をおこすと赤く腫れてきます。
STEP 2:歯周ポケットの形成
さらに進行すると歯周ポケット(歯と歯肉の境目にある溝のこと)が深くなってきます。
STEP 3:歯槽骨の吸収
病変が進むにつれて歯槽骨が吸収されていきます。
STEP 4:出血・排膿
炎症がさらにひどくなってくると、出血したり膿がでてきたりします。
STEP 5:歯の動揺
歯槽骨の吸収が著しくなると、歯がグラグラしてきて、ついには抜け落ちてしまいます。
歯周病の原因
歯周病の原因はプラーク中の細菌や歯石です。
歯石はブラッシングでは取れないので歯医者さんで取ってもらいます。プラークはブラッシングで取り除くことができますが、いい加減なブラッシングでは完全に取り除くことはできません。
正しいブラッシング法を身につけてきちんと磨くことでプラークを完全に取り除き、歯肉をマッサージすることで血行を促して、引きしまった歯肉と健康な歯を保つことができます。
- プラーク
透明か黄白色の歯の付着物でハブラシで取り除けますが、うがいでは取り除けません。
- 歯石
プラークが石灰化して硬くなったものです。
色は灰白色か黄白色ですが、たばこやコーヒーなどの外来性物質によって黒色か黒褐色になることもあります。 - ポケット
歯肉溝が病的に深くなったものです。
ポケットは歯肉ポケットと歯周ポケットに分けられます。健常な歯周ポケットの深さは2~3mmといわれています。 これに対して4mm以上の深いポケットは病的な状態と考えられます。
プラーク・歯石を付きやすくする要因
- 1.不適合修復物
辺縁の適合が悪い修復物などはプラークを停滞させ、口腔清掃を不良にします。
- 2.歯列不正
歯列不正や歯の位置異常があると口腔の自浄作用が低下し、口腔清掃も不良になります。
- 3.食べ物
軟らかい粘着性食物は自浄作用を低くし、プラークの形成を促進させます。また砂糖を多く含む食べ物はプラークを増加させます。
歯周病の治療法
- 1.ブラッシング
歯に付着したプラークをハブラシで取り除き、歯肉をマッサージすることによって血行を促し、炎症に強い歯と歯肉を作ります。
- 2.スケーリング
歯に付着した歯石を器械的に取り除きます。これによって歯肉に炎症をひきおこしている原因を除去します。
- 3.ルートプレーニング
炎症が進行した深い歯周ポケットの中にある歯石と炎症におかされた不良な歯肉を手用器具を使って除去し、歯根の表面を滑沢にします。これにより健康な歯肉の再生を促します。
すべての治療の目的は、細菌の活動し易い場所である歯周ポケット内の環境を改善することによって、それ以上炎症が進行するのを防ぐことです。
治療を行ったからといって失われた歯肉や歯槽骨がまったく元の状態に戻るということではないので歯周炎の場合はまず予防が一番大切であり、炎症が生じた場合でもできるだけ初期に処置を施す必要があります。
実際の患者様では・・・
初診時
全体的に歯肉が赤く腫れていて、かなりの出血があります。下の前歯の裏側にはたくさんの歯石が付着していました。
約1年後
正しいブラッシング法を練習し、1日3回の歯磨きをがんばってもらいました。そして定期的にスケーリングを行い歯石を取り除きました。
歯肉がひきしまって色もきれいになってきました。今もブラッシングをがんばっているので良い状態が維持されています。
位相差顕微鏡
位相差顕微鏡を用い、口腔内の細菌の状態を把握し、患者様ひとりひとりに合った治療方針を決定し、治療に役立てています。
定期健診
定期健診ってどんなことをするの?
お口の中の状態
- 新しいむし歯はないか
- 歯ぐきの色はどうか
- つめたものやかぶせたものがしっかり入っているかどうか
などをチェックします。
変わりなく保てていたら、きれいにおそうじ『PMTC』をします。
PMTCとは・・・
Professional ・・・・専門家による
Mechanical ・・・・ 器械的な
Tooth ・・・・・・・歯の
Cleaning ・・・・・ おそうじ
の事です。
歯ブラシだけでは汚れを落としきれないガンコな汚れや磨きにくい部分を、専用の器材を使って徹底的にクリーニングする方法がPMTCです。
定期的にPMTCを行うことで、むし歯や歯周病を予防することができ、安定した健康状態を維持できます。
メインテナンス
数ヶ月から長くは1年以上にわたって歯科治療に通い、ようやく治療も終了となると誰もがホッとするものです。
特に治療中は多かれ少なかれ痛みや苦痛や物が噛めない等の不快な思いをする事もあり、できれば歯科医院には行きたくないという方もおられることでしょう。
しかし、治療終了後メインテナンスを行なった人とメインテナンスを受けなかった人ではあきらかに口腔内の状態が異なってきます。つまり自分だけで口の中を管理するのは難しく専門家による定期的な管理を受ける必要があるということです。
健康な状態を維持するためには、「また痛くなってから歯医者に行こう」という意識から「定期的に専門家の協力を受けながら、自分自身で口の中の健康を維持していこう」という皆さんの意識改革が必要であり大切です。